TEL:055-222-1140

〒400-0861 山梨県甲府市城東4-17-5

リウマチ科

初診受付をご希望の方はこちら

求人情報

HOME»  リウマチ科

関節リウマチってどんな病気?

 皆さん、よく免疫という言葉を耳にしませんか?免疫とはウィルスや細菌や寄生虫あるいはがん細胞などの異常な細胞を認識して人体を病気から保護するシステムのことを言います。ところが様々な原因により、この免疫システムが異常を来たし、自分の体の一部を外敵あるいは異常な細胞と錯覚し標的として攻撃してくる病気を自己免疫疾患と言い、その代表的な病気が関節リウマチです。女性に多く40~60歳代が発症のピークと言われていますが、小児から高齢者まで発症する可能性があり、最近は男性の患者さんも増えている印象があります。
 関節リウマチは、異常な免疫システムが関節内に存在する滑膜という組織を標的とし滑膜の炎症を引き起こします。炎症した滑膜から分泌された蛋白分解酵素が関節軟骨や骨を破壊し変形を来たし、場合によっては大きな機能障害を来たす可能性があります。 また、関節リウマチは関節症状だけでなく、間質性肺疾患(リウマチ肺)をはじめ骨粗鬆症や貧血や脳梗塞・心筋梗塞などの血管障害やアミロイド腎による腎機能障害や強膜炎などの眼症状など様々な合併症を引き起こすことがあるので、迅速に診断を確定し早期より治療を開始する必要があります。
 当クリニックでは、外診(触診)・レントゲン撮影・血液尿検査・超音波診断装置(エコー)を用い迅速に診断し(時にMRIが必要となることもあります)、MTX(メトトレキサート)等の免疫抑制剤や免疫調節剤だけでなく生物学的製剤やJAK阻害剤(低分子標的阻害剤)も導入し治療にあたっております。
 また関節リウマチの治療経過中には治療薬の副作用である急性間質性肺炎(おもにメトトレキサートという治療薬が原因)や肝機能障害やリンパ増殖性疾患や造血機能障害・免疫力の低下による感染性肺炎(細菌・ウイルス・真菌・結核)や尿路感染症(膀胱炎・腎盂炎)などを来たすことがありますので注意が必要です。

当院でのリウマチ診療の特徴

*日本リウマチ学会認定専門医とリウマチケア看護師が常勤しています。
 

 当院では、リウマチ診療に精通した日本リウマチ学会認定専門医(院長)が、診察・X線検査・血液検査だけでなく超音波画像診断(エコー)を用いてリウマチ診療を行っておりますので、迅速なリウマチ診断・治療導入が可能です。また、当院には数少ないリウマチ財団認定のリウマチケア看護師が常勤していますので、疾患やリウマチ治療についての知識の提供、感染予防や感染症に罹患した時のアドバイスや日常生活面におけるアドバイスや精神面でのケアなど親身におひとりおひとりの患者様の対応にあたっております。
*リウマチケア看護師とは、関節リウマチを抱える患者様に対し、熟練して技術で対応することができる看護師のことです。

関節リウマチの治療

① 関節リウマチの薬物療法
 関節リウマチ(RA)の薬物療法は、免疫異常の是正による疾患制御を目的とした免疫抑制剤や免疫調節薬、また生物学的製剤やJAK阻害薬といった非常に治療効果の高い薬剤を用いた根本療法(数種類の薬剤を併用することが多いです)、及び非ステロイド性抗炎症薬やステロイド関節内注射を中心とした対症療法(補助療法)の二本立てで行われます。基本的には、JCR(日本リウマチ学会)やACR(アメリカリウマチ学会)の治療ガイドラインに準じた治療を行います。

(抗リウマチ薬)
免疫抑制剤:メトトレキサート(リウマトレックス/メトレート)
・タクロリムス(プログラフ)
・プレディニン(ミゾリビン)
・アラバ(レフルノミド)など
免疫調節薬:アザルフィジンEN(サラゾスルファピリジン)
・リマチル(ブシラミン)
・ケアラム(イグラチモド)など
(生物学的製剤)
・レミケード(インフリキシマブ)
・エンブレル(エタネルセプト)
・シムジア(セルトリズマブペゴル) ・シンポニー(ゴリムマブ)
・ヒュミラ(アダリマブ)
・ナノゾラ(オゾラリズマブ)
・アクテムラ(トシリズマブ) ・ケブザラ(サリルマブ)
・オレンシア(アバタセプト)
(生物学的製剤バイオシミラーBS)
・インフリキシマブBS
・エタネルセプトBS
・アダリマブBS
(JAK阻害薬)
 ゼルヤンツ・スマイラフ・オルミエント・リンヴォック・ジセレカ

② 関節リウマチに対するステロイド関節内注射療法
 関節リウマチの薬物療法を開始しても多くの場合は、すぐには症状の改善は期待できません。効果発現まで個人差はありますが、早くて2週ほど概ね3~4週ほどはかかります。効果発現までの期間、辛い痛みを緩和するのに少量ステロイド関節内注射は非常に有効です(ただし、関節リウマチの根本的な治療ではありませんので、ステロイド関節内注射で症状が改善しても抗リウマチ薬による治療は必要です)。ステロイド内服薬は骨粗鬆症や糖尿病など様々な弊害の原因となりますが、少量のステロイド関節内注射はそのような弊害をきたすことはまずありません(糖尿病治療中の場合は主治医に注射可能かどうか確認のうえ行いますが、糖尿病の状態によっては実施できないこともあります)。関節内注射は様々な関節手術を経験し、関節の構造を熟知し清潔操作を熟知している整形外科専門医の専門領域ともいえる注射です。ただし、注射部位を清潔に保つ必要があるので、関節内注射後の24時間は湿布を貼ったり触ったり、入浴・シャワー浴は出来ません。

③ 基礎療法
 基礎療法とは、日常生活において関節に負担をかけないようにすることや、健康を維持して病状を悪化させないように体調を管理することです。喫煙は関節リウマチの発症の原因となったり、関節リウマチの症状を悪化させますので必ず禁煙してください(なかなか禁煙できない方は、呼吸器内科専門医による禁煙外来を紹介いたします)。
 歯周病は関節リウマチ発症の原因となったり、関節リウマチの症状や骨粗しょう症を悪化させますので、定期的にチェックを受けたり口腔内を清潔に保つように心がけましょう。日々の生活では、手首や指の関節を酷使しないように調理器具やカップなどの持ち方や使い方を工夫したり、荷物は手で持たないで肩にかけたりしましょう。また、日常の動作をやりやすくするための自助具もあるので、必要に応じて利用するといいでしょう。過労や睡眠不足、ストレスを避け、栄養バランスのよい食事をしましょう。肥りすぎは関節に負担をかけるので適性体重を保つことも重要です。寒さや冷えも症状を悪化させる原因になるので気をつけましょう。

関節リウマチ治療中に注意する主な合併症や治療薬による副作用

① 間質性肺疾患(リウマチ肺)
 自分の免疫細胞が肺を攻撃してしまった結果、肺が硬くなってしまって線維化してしまう疾患です。肺が膨らみにくくなってしまう、息切れや息苦しさを感じる、空咳が出るなどの症状があります。一度進行し線維化してしまった肺は治療を行っても元に戻ることは難しいと言われています。関節リウマチの呼吸器合併症は,経過の早さと重症化の危険性から早期診断,早期治療が重要です。治療中に前述の症状を自覚する場合には放置せず,なるべく早めに当院あるいは当院提携の呼吸器内科専門医にご相談ください。

② 呼吸器系感染症
 関節リウマチには、前述の間質性肺疾患以外にも細気管支炎や気管支拡張症といった気道病変の合併が多いことが最近報告されており,細菌などによる感染の原因となりうると言われています。またステロイドや抗リウマチ薬による免疫抑制のため,経過が急速で重症化しやすいため注意が必要です。また本来は病原性の少ないカビ(真菌)やウイルスによる日和見感染症や結核や非結核性抗酸菌症(肺MAC症)などの感染症を発症することもあります。関節リウマチの呼吸器合併症は,経過の早さと重症化の危険性から定期的検査、早期診断、早期治療が重要です。治療中に呼吸器症状の出現や発熱がみられた場合には放置せず,なるべく早めに当院あるいは当院提携の呼吸器内科専門医にご相談ください。

③ MTX関連リンパ増殖性疾患
 関節リウマチ自体の合併症としてもリンパ腫が起きてしまうことがありますが、メトトレキサートをはじめとする免疫抑制剤治療中にリンパ節が腫れるリンパ腫(リンパ増殖性疾患)が起きることがあります。60%以上の例で薬剤を中止することでリンパ腫は消退するとされていますが、消退しない場合は精密検査や治療を要する場合があります。
 リンパ節は首や脇の下などに存在しますが、この薬剤に関連するリンパ増殖性疾患は、咽頭や扁桃、消化管、肺といったリンパ節以外の臓器でもリンパ組織の増殖を起こすことが多いということが知られています。注意すべき症状としてはリンパ節の腫れが典型ですが、リンパ節以外の皮膚や喉の腫れや、発熱・寝汗・体重減少といったこともリンパ腫では起こり得ます。メトトレキサート内服中にこれらの症状が出現した際にはご相談ください。

④ 骨粗鬆症
 リウマチの活動性が高い状態が続くと、骨がもろくなるスピードが一般の方より速くなります。いわゆる骨粗しょう症です。女性は元来骨粗しょう症なりやすいと言われており、特に注意が必要です。
 骨粗しょう症になると転倒などで簡単に骨折してしまいます。
 大腿骨や脊椎などを骨折すると、歩行に重大な支障をきたすだけでなく、寝たきりになり誤嚥性肺炎などを引き起こすこともあります。
 脊椎と大腿骨の骨密度値や脊椎と大腿骨のレントゲンや骨代謝マーカーの定期的検査が重要です。

⑤ 肝機能障害
 メトトレキサートの服用により肝機能障害が起きることがあり、特にGOT(AST)やGPT(ALT)といった数値が上昇することがあります。肝機能障害が軽度の場合は自覚症状はありません。そのため定期的に血液検査でチェックを受けることが重要です。稀ですが重度の肝機能障害の時は倦怠感を自覚することがあります。倦怠感が強いときは早めに当院にご相談ください。

⑥ アミロイドーシスと腎機能障害
 慢性炎症による全身へのアミロイドという物質の沈着によって起こります。消化管に沈着した場合慢性下痢や消化不良、吐き気、腹部膨満感などを認めます。腎臓に沈着すると腎機能低下、腎不全を引き起こすことも。その他にも心不全などの原因になることがあります。

⑦ 造血機能障害
 メトトレキサートの服用により骨髄で作られる白血球やヘモグロビン、血小板が減少することがあります。これらは自覚症状に乏しく、何となく体調が優れないなどの自覚症状で検査して発見されるといったことがあります。骨髄抑制は、メトトレキサートの濃度上昇により引き起こされるとされています。高齢であることや腎機能障害があること、多数の薬剤を併用していることなどが骨髄抑制のリスクであるとされています。脱水などが原因で、体内のメトトレキサートの濃度が上昇してしまわないように注意が必要です。メトトレキサートを服用する際に体調が優れないなどの不調を感じたら、無理に服用はせず当院にご相談ください。

⑧ 心筋梗塞や脳梗塞
 リウマチによる慢性炎症が長く続くと、血管にも炎症が及ぶことがあり、結果として脳梗塞や心筋梗塞といった血管障害のリスクが増大することが知られています。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪値が 高い方は要注意です。LDLコレステロールは生活習慣の見直しや有酸素運動などで改善することもありますが、体質的になかなか改善しない方も多いようです。このような場合は、コレステロール値を下げるような内服薬を必要とすることもあります。

⑨ 貧血
 リウマチによる慢性炎症によって、貯蔵鉄の利用障害が起きてしまい、結果として鉄欠乏性貧血になります。慢性の貧血が長く続くと息切れや倦怠感などといった症状としてあらわれることもあります。また心臓にも負担がかかる結果心不全の原因になることもあります。

⑩ 口内炎・食思不振・吐き気・嘔吐
 メトトレキサートの血中濃度上昇により嘔吐や食思不振といったさまざまな消化器症状を引き起こすことがあります。メトトレキサートを分割して服用することで症状が軽減されることがあります。またその他の消化器症状として、口内炎など粘膜が障害されることもあります。葉酸(フォリアミン®︎)を併用したり増量することにより対処できることがありますが、症状がひどく改善しない場合にはメトトレキサートを中止します。
 最近、メトトレキサート(メトジェクト)の皮下注射製剤が発売されました。注射薬なので胃や十二指腸といった消化管を通過せずに体内に吸収されます。そのため、これらの消化器症状が軽減されるのではないかと期待されています。

⑪ リウマチ治療によるB型肝炎ウイルスの再活性
 以前に肝炎をに罹患し、治療にて肝炎が治ったと考えられていた患者さんの中で、がんの化学療法や免疫抑制療法をおこなうと、稀にB型肝炎を発症してしまい重症化する方がいらっしゃる。ということがわかってきたのです。(B型肝炎の再活性化といいます。)
 ごく微量のB型肝炎ウイルスが体に残ってしまうことが原因といわれています。そのために、本院では昔にB型肝炎を患っていないかのチェックとして、HBs抗体・HBc抗体を調べるようになっています。
 では、HBs抗体・HBc抗体のいずれかもしくは両方が陽性だった方は?
1. 今まで記憶になかったとしても、昔に肝炎にかかったことがある。
2. 医療従事者で、B型肝炎ワクチンを接種した。
などが考えられます。
 これらの方は、あくまでも昔に肝炎を患ったというだけで、普通に生活するには、まったく問題ないですし、他人に言う必要もありません。家族にうつる心配もありません。がん治療などと比べて、リウマチ治療によるB型肝炎の再活性化は少ないといわれてはいますが、まだ日本では調査中でデータがありません。ウイルスが活発になり肝炎を発症してしまう場合には、早期に専門治療が必要になるため、定期的にHBV-DNAというウイルス量をみる採血検査をおこなっていきます。
 万が一、HBV-DNAが陽性になったときには、肝臓内科専門医をご紹介の上、協力して診療していきます。
 不明点、ご相談がありましたら、いつでもご質問ください。

定期的な検査が大切です

 関節リウマチとは関節のみに影響が出る疾患であると思われがちですが、しっかりと治療を行い炎症を抑えないと、関節が破壊されるだけでなく、全身のあらゆる臓器に影響を及ぼす可能性があります。
 また、薬剤の副作用も全身に及ぶこともあるため、治療を継続している 間は定期的な血液検査やレントゲン、必要に応じてCTやMRIなどの検査も必要となっていきます。日々効果の確認を行い、薬剤の副作用などを起こしていないか検査を行いながら、安全にリウマチ治療を行うことがとても大切です。

PageTop